平川仁 本山秀樹
東日本大震災の被災者の生活を立て直すために市町村が貸し付ける「災害援護資金」が今春から返済の期限を迎えだす。ただ、震災から13年経っても生活に余裕のない被災者は多く、返済期間になったのに滞納している額は9都県で57億円を超えている。
家族4人で暮らす仙台市内のアパートの壁にある隙間。ティッシュで塞いでも、部屋は冷え込む。「今を生きるのに精いっぱいですよ」。大型トラック運転手の40代男性は言う。
2011年の震災で自宅に大きな被害はなかったものの、日雇いのアルバイトが激減し、貯金が底をついた。地震で家具が壊れ、通勤で使う車の故障も重なった。
頼ったのが災害援護資金だ。返済期間は13年だが、初めの6年は支払いが猶予される。男性は12年2月に150万円を借りた。連帯保証人はおらず、利率は年1・5%。
月1万円の余裕もなく
市から督促状が届いたのは18年。半年で約11万円の返済を求める内容だったが、重くのしかかった。男性の月収は18万円で、妻のパート代が月5万~8万円。家賃5万円に小学生と中学生の子ども2人の教育費、震災後に発症したリウマチとヘルニアの治療費を払うと、1万円も残らない。
男性は同年5月、仙台弁護士…
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル